「コトリバコ」という箱をご存知だろうか?
漢字に直すと「子取り箱」となり、文字通り「子を取る箱」である。
妊娠できる女性や子供に呪いをかける事ができ、子孫繁栄を呪いの力で阻止するというもの。
今回はコトリバコの都市伝説について紹介しよう。
コトリバコ(子取り箱)とは?
コトリバコの始まり
明治元年に起こった隠岐騒動の際、この騒動の中心人物であった一人の男が出雲の国(現在の島根県)へと逃げた。
しかし、男が逃げた先の集落は他の集落から酷い扱い(今でいう部落差別のようなもの)を受けており、これ以上自分達が酷い目に合わないようにするため、住民達は「よそ者」の逃げて来た男を殺す事にしたのだった。
男は住民達に殺されそうになったが「俺の命を助けてくれるなら、お前たちに最強の武器を与えることを約束する。」と言い、その条件を呑んだ村人たちは男から「最強の武器」を受け取る事となる。
この最強の武器こそ「コトリバコ」である。
コトリバコの呪い
冒頭でも触れた通り、コトリバコの呪いは「子孫を絶やす」というもの。
呪いをかけられた女性や子供は呪いに苦しみながら命を落とすのだ。
男からコトリバコの事を聞いた村人達は、自分達を迫害していた他の集落の住民にコトリバコを贈った。
すると受け取った女性や子供たちが、突如血を吐いて苦しみだし、その後命を落とした。
呪いの効果を確信した村人たちは、迫害された集落の住民に対して「我々に干渉し、迫害や差別を続けるならば、この呪いが解ける事はないだろう。」と伝えるとそれ以降、差別や迫害を受ける事はなくなったという。
コトリバコの作り方
- 木製のからくり箱(謎解きの要領で一定の動作を行わないと蓋が開かないようになっている箱のこと)を用意する。
- 雌の動物の生き血を箱に並々と注ぐ。
- 一週間放置した後、仲に入った血が乾いていない事を確認し、胎児から10歳までの子供を殺して、死体の身体の一部を入れ、箱を閉める。
3.の工程では、集落で役に立たない身体の弱い子供を使っていたという。
コトリバコの威力の違い
コトリバコは生贄にする子供の人数が多いほど、呪いの威力が増加する。
最大で8人まで生贄してコトリバコを作ることができるが、それ以上生贄にすると作り手が呪われてしまうのだ。
以下は、生贄にする人数と、そのコトリバコの名称である。
1人 | イッポウ |
2人 | ニホウ |
3人 | サンポウ |
4人 | シッポウ |
5人 | ゴホウ |
6人 | ロッポウ |
7人 | チッポウ |
8人 | ハッカイ |
コトリバコの作り方を集落の村人に教えた男は、呪いの力が強力にならないようにチッポウまでの作り方しか教えなかった。
しかし男はハッカイのコトリバコを所持していたという。
コトリバコのその後
一度コトリバコを作ったら、呪いをかけたい相手以外に子供や女性に近づけない事が重要である。
そして湿った暗場所で保管するのが鉄則だという。
「自分が呪いたいと念じた者が呪いにかかる」のではなく、女性や子供が受け取ると呪いがかかってしまうので、それが例え自分の親族であっても近づくだけで呪いがかかってしまうというのだ。
呪いの力は強力で、明治元年に作られたコトリバコだが100年以上経過した今でもその呪いの影響は続いており、恐ろしくなった集落の長老が全国各地の寺院に封印したと言われている。
2006年には、島根県でとある神社の倉庫の解体作業中、コトリバコのような箱が発見されたが、何者かが持ち出してしまい、そのまま箱の行方はわかっていない。
持ち出した人物がコトリバコだとわかっていて持ち出したのか、ただのからくり箱だと勘違いして持ち出したのかは謎だが、持ち出した物にも何らかの影響を与えている事は間違いないだろう。