お化け屋敷と言えば、テーマパークで欠かせない定番のアトラクションである。
機械仕掛けの人形やキャストがお化けに扮し、様々な演出でお客を恐怖のどん底に陥れるのが特徴だ。
そして今回紹介するのは「お化け屋敷のオブジェが本物の○○だった」というお話。
一体どうしてそんなものがお化け屋敷に紛れ込んでしまったのだろうか・・・。
お化け屋敷に本物の人間の・・・
エルマー・マッカーディ事件
事件が起きたのは、アメリカのカリフォルニア州。
ロングビーチという町にあった遊園地「ザ・パイク」内のお化け屋敷で起こった。
1902年にオープンしたザ・パイクは、当時かなりの人気スポットであったが、ディズニーランドなどの大型遊園地が増えるにつれて徐々に経営難に陥り、1976年に閉演してしまう。
遊園地として残してはおけないが、他に使い道は無いだろうかという事で、閉演後は映画やドラマのロケ地として使われるようになった。
そして1976年にテレビドラマ「600万ドルの男」の撮影がお化け屋敷内で行われることとなったのだ。
撮影の途中で、邪魔な位置に吊るされていたオブジェをどかそうとしたスタッフがオブジェを誤って落としてしまい、その衝撃で腕がもげてしまった。
慌てて腕を付け直そうとするも、断面には肉や骨のようなものが見え、作り物にしては妙にリアルに見えた。
不気味に思ったスタッフが念の為に警察に連絡したところ、65年以上前に亡くなった人物の死体だと判明したのだ。
その体の正体は?
警察は身元を特定しようとしたのだが、今まで作り物だと思われていた分、粗い扱いを受け損傷が激しく、ペンキなども塗られていたので捜査はかなり難航した。
そして懸命な捜査の末、1911年に事件を起こした銀行強盗のエルマー・マッカーディであることが判明した。
エルマーの体は警察の元で検死が行われた後、葬儀業者の手に渡ったが、引き取り手が無かった為、商売道具として利用されてしまう。
「銀行強盗の姿」として防腐処理を施された後に見世物にされ、料金として5セントを受け取り、見物客が押し寄せた事で葬儀業者は大儲けをしたという。
ちなみに料金の支払い方はエルマーの口に5セントをねじ込むという方法。
かなり罰当たりな方法だが、当時はこのような事が頻繁に行われていたのだという。
その後、エルマーの話を聞きつけた蝋人形館や見世物小屋の元を転々とし、最後に辿り着いたのがこのお化け屋敷だった。
長い間、色々な人の元を渡っているうちに「本物の人間の体」である事が忘れ去られていった。
身元特定の決め手とアメリカの文化
損傷が激しかったエルマーの体だが、警察の懸命の確認により、事件に巻き込まれた人物である事が判明。
そして、お化け屋敷で発見された後、再度行われた検死で口の中から1924年製の5セント硬貨が見つかったことが決め手となった。
生前、銀行強盗で大金を得ようとしていたエルマーだったが、皮肉にも彼の死後、見世物として稼いだ金額の方が、銀行強盗で盗もうとしていた金額よりも多かったのだという。
アメリカにはハロウィンの文化があり、飾りつけもかなり本格的に行う為、中には本物と見分けがつかない程リアルな飾りつけもあるのだという。
その為、本当の人間が木からぶら下がっていても、ハロウィンが近い日に発見されると「手の凝んだハロウィンの飾りつけだ。」と思われ、発見が遅れるという事件が2005年と2009年に発生している。
まとめ
いかがだっただろうか。
なんというか、いかにもアメリカらしい都市伝説である。
日本の都市伝説でも「お化け屋敷の中に本物のお化けが紛れ込んでいる。」という都市伝説が存在するが、もしかしたら「木を隠すなら森の中」という事で、事件に巻き込まれた遺体がお化け屋敷に隠されているかもしれない。