2011年3月11日に発生した東日本大震災は、死者15,893人、重軽傷者6,152人、届出があった行方不明者は2,553人(2017年3月時点)の犠牲者を出し、原発事故や広域に渡る津波による経済的被害総額は16兆円から21兆円に昇ると推定されています。
いまだにその爪痕を広域に残す東北大震災。
この地震は、なぜこれほどの被害を出すに至ったのでしょうか?
そして、この地震を予見することはできなかったのでしょうか?
ここでは、東日本大震災を予見した5人の予言者たちについてご紹介していきます。
1.東日本大震災の3つの特徴
東日本大震災は、かつて起こった大震災と較べても、他に類を見ない3つの大きな特徴があります。
それは、いわゆる「内陸型地震」とは違う、海溝型地震特有の問題とも言えるものです。
その特徴を見直すことで、なぜコレほどの被害を広域にもたらした原因が見えてきます。
では、その特徴とはどのようなものでしょうか?
①国内観測史上最大、マグニチュード9.0の地震であった
東日本大震災の震源域は、南北500km、東西200kmという超高域を記録しています。
そのため、地震の影響が東北地方を中心に、北海道から関東にまで広がり、多大な影響を与えました。
地震の規模を表す単位、マグニチュード(M)は9.0を記録しています。
これは日本国内で記録された地震の規模としては、関東大震災(M7.9)や阪神淡路大震災(M7.3)を超える史上最大規模の地震です。
世界全体の記録を見ても、観測史上第4位に記録されています。
最大震度7を記録した宮城県栗原市では、震動の加速度強度が2933ガルを記録。
乗り物などの加速でかかる力を「g(ジー)」といいますが、1gは980ガルに相当します。
上記の地震による加速度強度はgに換算すると約3gに該当しますが、3gはジェットコースターの最大加速時や、ジェット戦闘機の通常飛行時の加速度に相当する、といえば、どれほどの震動と衝撃だったかを想像することができるでしょう。
②複合災害だった
東日本大震災の被害がこれほどまでに巨大なものになったのは、これが単純な地震災害ではなかったことが大きなな原因となっています。
広域に渡って発生した津波は、東北沿岸に甚大な被害をもたらし、さらにその津波が引き金となって発生した東京電力の福島第一原子力発電所の事故は、国内最大の原発事故となり、原子炉解体による最終的な収束まで、この先数十年を費やすことになるのが分かっています。
単に地震としての被害のみならず、地震によって起こった副次的災害の被害が大きかったことが、東日本大震災の大きな特徴であることは間違いありません。
③経済的に莫大な被害をもたらした
前述したとおり、複合災害であった東日本大震災の被害総額は莫大な金額に昇っています。
内閣府の推計によれば、東日本大震災による被害総額は16.9兆円、一説では21兆円に昇るとも言われています。
1995年の阪神淡路大震災の被害総額がおよそ9.6~9.9兆円、2016年に起こった熊本地震が3.7兆円であることを見ても、東日本大震災の被害がどれほど大きいものであったかを理解することができるでしょう。
2.東日本大震災を言い当てた5人の予言者
近代以降、科学的に地震を解析し、その発生メカニズムを研究する「地震学」が発展してはいますが、いまだ地震を充分早いうちに、かつ正確に「予知」できるレベルには至っていません。
しかし、もし東日本大震災の発生を「予知」しえたのなら、これほどの甚大な被害をもたらす災害にはなっていなかったかもしれません。
実は、東日本大震災を予見し、そのことを公表した「予言者」は存在しました。
いったい、どのような人物があの巨大地震を「予言」していたのでしょうか?
①松原照子
東日本大震災の発生時期から地震の規模、発生場所までも予言したとして話題になったのが、コンサルタント会社の社長も務めている松原照子氏です。
彼女は自身の公式サイト「幸福への近道」の記事で、<世見>と題する予言を公表しており、2009年の8月にはマグニチュード10クラスの地震が近日中に発生するという予言を公表、合わせてその地震で「28メートルの津波」が起こることにも触れています。
東日本大震災が起こる1ヶ月前の2011年2月には、「原発事故」の可能性や「陸前高田」という地名を示すなど、後の大震災に一致する予言を公表し、震災後、そのことが大きな話題になりました。
2014年には首都直下型地震が起こる可能性を予言していましたが、幸いなことに、この予言は外れています。
②飯沼勇義
歴史学を独自に研究している民間学者の飯沼勇義氏は、仙台湾に起こった津波に関する歴史資料に興味を持ち、その研究成果から200年に一度、仙台沿岸に大津波が発生する周期があることに気づきました。
また、一千年に一度の周期で、200年周期の津波を大きく超える巨大津波が発生することも発見しました。
過去、仙台沖を震源とする地震としては、1793年に起こった寛政地震が大きく知られており、その際に大津波が起こったことも記録されていますが、飯沼氏は自身の予見した津波200年周期説から、1994年以降、大きな津波が仙台沖を襲う可能性を予言。
この予言は新聞報道され、話題となりました。
飯沼氏は、津波の危険性を訴え、行政に対応策を取るよう警告を発し、自ら『仙台平野の歴史津波』と題する著書を上梓し、行政関係者に400冊を配布しましたが、結局彼の予言は取り上げられることはありませんでした。
③ジョセフ・テイテル
アメリカの予言者ジョセフ・テイテル氏は、2011年初頭に出版した自書の中で「これから12~14ヶ月の間に、日本・中国・メキシコのいずれかに巨大な津波が発生し、更に発生した場所から160km以内で再度津波が起こるだろう」という予言を行っています。
テイテル氏は震災発生後に発表した著作で、「2年以内に地球全土が荒廃する災害」が起こることを予言、
日本もその国土の半分が一度は海に没する巨大地震と津波に襲われることを予言していますが、幸いこの予言は当たりませんでした。
氏は2017年にも、日本列島の北半分にある、”通常では巨大地震が起こることが想定されていない”地域で、大きな地震が起こることも予言しています。
この原稿が書かれている2017年8月現在、該当する地震災害は起こっていませんが、残り4ヶ月はどうなるでしょうか?
④飯田亨
中国の陰陽思想や占いを取り入れた独自の「陰陽自然学」を唱える予言者、飯田亨氏。
氏は2004年から2013年の10年間に起こる出来事を記した自作の著書『地球核力激震10年』において、2011年の3月6日~4月4日もしくは7月7日~11月7日に、『極めて重大な政治経済局面、超大火災、天変地異、伝染病、カタストロフィ、核事故警戒』(上記著書よりの抜粋)が発生することを予言、警告を発しています。
”地震”や”津波”といった文言には直接触れられていませんが、注目すべきは”核事故”の記述があることでしょう。
これは福島第一原発の事故を指し示した予言であったとされています。
⑤エド・デイムス
福島第一原発事故を予言した予言者として注目されている人物としては、エド・デイムズ氏の名前も上げることができます。
「リモート・ビューイング」という手法で予言を行うというアメリカの予言者エド・デイムス氏は、アメリカ国防総省の諜報庁にあるリモート・ビューイング部隊に所属していたという経歴を持つとされています。
デイムス氏は2003年にテレビ朝日で放送された番組『東京Xデー予知警告スペシャル』に出演、その番組の収録中に2005年春に日本で大地震とその影響によるチェルノブイリ原発級の事故が起こると予言。
ただ、この予言に関してはテレビ局側の判断で、視聴者に過剰な動揺を与えるとされ、放送では使用されなかったともされています。
実際に福島第一原発の事故が起こったのは2011年3月のことですので、デイムス氏の予言とはかなり時期的にずれてはいますが、『チェルノブイリ級の原発事故』という点では共通性が見られ、その内容が見直されています。
まとめ
地震学による『予知』と比べ、地震の『予言』は科学的根拠がないとして軽視されがちです。
しかし、もし、東日本大震災の発生の予言に多くの人が耳を傾けていれば、あるいは、あの巨大な震災のもたらした災厄も、いくらかは軽減されていたのかもしれませんね。
いずれにせよ、私達が世界有数の地震国に暮らしている事実を忘れてはいけないことだけは、確かです。
最後に、東日本大震災で犠牲になられた方々に、謹んで哀悼の意を表します。