真っ黒な色と大きな身体、鳴き声で「不吉」と言われることの多いカラス。日本では都会のゴミ置き場などに集まっているのをよく目にする。最近では、カラスは共食いをするなどの噂がささやかれ、ますます不可解な鳥として注目されている。今日はそんなカラスに関する話を集めてみた。
カラスは共食いするってホント?
カラスの死骸を見たことがない人は多いだろう。スズメや鳩に比べ、車に轢かれている姿も見ないし、もしや不死身なのだろうか。
カラスの寿命は十年から三十年
他の鳥に比べ寿命が長いらしいが、「百年」という話は本当なのだろうか。調べてみたところ、カラスの寿命は十年から三十年とのことだった。都会だと餌も多いので、長く生きられるのかもしれない。
カラスはご存知のとおりかなり頭のよい鳥なので、他の生き物に襲われることもあまりないらしい。また、人間による駆除も法律で禁止されているため、野生でも十五年くらいは生きられるそうだ。
ちなみに一般の人がペットとするのは禁じられているものの、研究のためなどに人の飼育下に置かれたものは六十年近く生きたという記録もあるらしい。環境の影響がなければ、ほぼ人間並みに長生きする鳥なのかもしれない。
カラスの死骸が見られないのは、カラスが自分の巣で亡くなるためと、猫など他の生き物に食べられてしまうかららしい。また、それ以外にも役所の方などによる清掃で片付けられるので、人の目に触れることは少ないそうだ。
カラスは共食いする鳥類である
そして、特記すべきこととして、カラス同士で共喰いが行われるという。通常鳥類は共食いすることはないらしいが、カラスだけは例外で共食いをするようだ。
こんな話がある。2羽のカラスを檻に入れて飼っていたところ、2羽がけんかして、1羽が死んでしまったそうだ。すると、けんかに飼った1羽が死んだもう1羽のカラスを共食いして綺麗に食べてしまったというのだ。
カラスが死ぬと仲間が集まってきて鳴き、葬式をしているようにも見えるらしいが、実際は、弔っているというより外敵の存在を知らせる行動なのだそうだ。カラスの死骸があるときに触ったりそばに寄ったりしていると、敵と勘違いされる可能性があるので近寄らないようにしよう。
また、都会ではあまり見かけないカラスの死骸だが、田舎の畑などで死んでいることはあるそうだ。天敵の猛禽類がいるので襲われることもあるのだろう。
カラスは不吉か神の使いか
カラスは魔女の手下であるとか不吉な存在としても有名だが、一方では神の使いともされている。広島の厳島神社にはカラスの像があり、姫神をこの地に導いたのもカラスだと言われている。また、海外においては、中国だと古代から太陽の使いと見られていたそうだ。ペットとして飼われていることもあるらしい。ギリシア神話でも太陽の神に仕えているとされていた。エジプトでも太陽と関連付けられている。日本の神話にも「ヤタガラス」として登場している。すべてにおいて不吉とみなされているわけではないことが分かる。
カラスが鳴くと人が死ぬのか?
カラスが死骸に集まる姿は印象的である。戦場で死肉をついばむ姿から、人の死を予測するというジンクスが生まれてまことしやかに語り継がれている。実際、大きな災害の前にカラスが激しく鳴いていたとか、予知能力があるとする説もある。カラスが鳴くと縁起が悪いという話はここからきているのかもしれない。
犬猫より知能が高く、寿命も長いとされるカラスにはまだ解明されていない能力が眠っているのかもしれない。黒い色が不吉なものと結び付けられることは多く、黒猫も同じように見られることはあったが、科学的根拠はないとされる。
カラスの記憶力は?
攻撃するつもりはなかったのに、カラスのいる木を何気なく見上げたら、カラスが飛んできて襲われた……という経験はないだろうか。子育て期のカラスは気が立っている上、巣のほうを見られたと思うと警戒して攻撃してくることがある。また、ゴミ捨て場のカラスを追い払おうと石を投げたりすると、その人の顔を覚えていて後日襲ってくることもある。カラスは道具を使ったり、硬いクルミを車に轢かせて割るなど、他の鳥に比べて賢い鳥である。服が変わっていても同じ人物であると認識する能力があるらしい。仲間を呼びよせて集団で襲ってくることもあるので、カラスには危害を加えないよう注意が必要だ。
また、オウムのように人の言葉を覚えてしゃべることができるのも知られている。身体に対する脳の大きさでいうと人間より大きいといわれており、鳥だからといってあなどれないのがカラスなのである。数を数えることもできたり、人間より多くの色を認識したりできるらしい。これからもカラスの持つ能力が新たに発見されるかもしれない。
カラスはコミュニケーションが得意
人の言葉を覚えるカラスは、多くの種類の鳴き声を持っているとされる。犬の鳴き声なども真似るそうで、他の生き物とコミュニケーションを取ろうとするのも知能の高さの証明といえよう。ネット上などでも、カラスに優しくしたら懐いてきたエピソードなども見られる。見た目は大きくて黒くてちょっと怖いが、仲良くなると可愛い鳥なのかもしれない。
まとめ
真っ黒な姿や鳴き声、威嚇する様子から怖いイメージを持たれがちなカラス。100年生きるという噂も生まれたのは、謎に包まれた生態からかもしれない。古くから人間の近くにいるカラスは、ときにゴミをあさったりして人間を困らせることもあるものの、法律では保護されている野鳥である。勝手な判断で駆除することなく、穏便に共存できるよう考えてみよう。