札幌にある恐怖の地下鉄・・・
札幌の地下を走る地下鉄にはひとつの都市伝説がある。それはとある親子に関するものだ。
札幌市内の会社で働いていた男はようやく残業を終え、帰宅するために一人で地下鉄のホームにいた。
もう深夜といってもよい時間だったために他の客はおらず、男はひとりで電車を待った。
終電ということもあって男一人しかいないホームに、電車が来るというアナウンスが流れる。その時、階段から3歳ほどの小さな子供が走って降りてきた。
その後ろからは母親が駆け下りてきて、「待って!母さんと手を繋いで!」と声を駆けながら子供に近づいた。
男の目の前辺りで子どもを捕まえた母親は、子供と手を繋いでほっと笑顔を浮かべた。
間もなく電車が来る、そんな時、母親は子供の手を掴んだまま、ホームから姿を消した。
あまりに突然のことで男はぽかんとしたが、すぐに、その親子がホームから飛び降りたのだと気が付いて、慌てて非常用の停止ボタンを探したが、見当たらない。
間に合わないと判断した男は親子を助けるために自身もホームから飛び降りようと覚悟を決めたときだった。飛び降りようとした男を、駅員が声を張り上げて止めたのである。
その声に振り返って、男は親子がホームから飛び降りたことを説明した。
しかしその説明をしている間に、電車がホームに滑り込んできてしまった。
男は親子を助けられなかったことに絶望したが、そんな男に近づいてきた駅員の一言に凍りつくことになる。「私も初めの時はびっくりしたもんです」、と。
つまりこの地下鉄駅では親子が飛び降りるのは何度もあることで、その親子はすでに亡くなっていたのだ。親子が、誰かを引き込むために飛び降りを繰り返しているのか、それとも未練があって飛び降りを繰り返しているのかはわからないが、少々悲しい都市伝説である。
またこの都市伝説にはもう一つ怖いことがあり、もしかしたら駅員も既に亡くなっていた可能性があるということだ。
札幌の地下鉄は、終電時に駅員はホームにいないのである。
一説では、以前自殺した親子を助けようとして駅員もホームに飛び降りたが、助ける事ができず亡くなってしまい、そういった犠牲を止めようとして追いかけようとした人間を引き留めているのでは、といわれている。
しかしこういった事件について明確な事実がないため、都市伝説としては若干信憑性に欠ける。
また、これはまだ札幌の地下鉄のホームに柵が付いていない時代の話なので、現在でも起きている都市伝説なのかはわからない。
札幌内でまだ柵がない地下鉄があれば、もしかして実際に遭遇できるかもしれないだろう。